2016年5月21日土曜日

195羽:腕時計 ~PRINCE~

お気に入りの腕時計。
「PRINCE」。

日本の時計製造のルーツは明治時代。
当時、ほとんどの時計がスイス等ヨーロッパよりの輸入品で占められていたが、国内でも精工舎の「セイコー」、尚工舎の「シチズン」、天賞堂の「レビュー」、そして村松時計の「プリンス」が純国産品メーカーとして奮闘していた。
特に「PRINCE」は、当時の鉄道省(今のJR)の公務御用品、また文部省中央気象室、大阪電気局等で数々の認証、表彰を受け、舶来他社製品と堂々と渡り合っていた。

ルーツは日本最初期の時計メーカー「村松時計製作所」。
創立者の村松恵一は日本最初の時計商(明治26 年創立)として他社では修理困難であった明治天皇ご愛用時計や宮殿内の修理を成し遂げた事から信頼を得て、皇室御用達時計店として大正2 年銀座に進出する。

大正10 年に懐中時計や置時計『PRINCE プリンス』を製作。

PRINCEの製造を辞めている。
という、歴史ある時計を愛用している。

文字盤はシンプルに落ち着いた大人の顔。
電池式ではなくオートマチック。
半月の羅針盤が腕の動きに合わせてぜんまい仕掛けで充電していく。
なので、使わなければ止まってしまう。

両面ガラス仕様。
あまりにも気に入り約10年前、弟から強引に貰った。


普段、腕時計を巻かないが、結婚式に年2、3回程度使用していた。
人の幸せを共に過ごしたPrinceの時計。

さすがに年着物・・・
ベルト部分がボロボロになり、これを機会に修理を依頼した。
勿論修理先は世界に1店舗しかない村松時計店へ。

最初はベルト部分の交換だけの交渉だったが、あまりの古さ、故障もあり、正確な時を刻めないということでオーバーホール(中身の全交換)を薦められた。

オーバーホール後はセイコーの電池式に替わるのだと言う。
文字盤からしても正確な時は分からない。しかも、オートマチックだから味が出る。
オーバーホールは丁重にお断りしたのだが・・・


誘惑が襲う。

PRINCEの復刻版の発売の連絡が来た。
皇室御用達ブランドの時計が限定120本。

1本15万円・・・
高いか安いかはその人次第。
俺には超高級腕時計になる。

ダンナに相談した。
「あなたがしたいのはその時計をしっかり直す事でしょ。買い換えるんじゃないんでしょう。」

そうだ。「復刻」という言葉に熱くなり過ぎた。

「大変手に入れたい一品ですが、亡き弟の遺品ですのでベルトの修理のみでお願いいたします。弟も喜ぶでしょうし。」
弟を殺して、丁重にお断りした。

村松時計さん、ごめんなさい。
弟は、十分元気に生きています。

弟よ。
勝手に殺して、悪い。


そして、今日修理が終わり帰ってきた。

ベルトは「村松」製。
穴留め式ではなく、バックルでパチッと止めるだけの簡単装着。


昔のPRINCEベルトも良かったけど、デザインは同じ。
バックルの名前だけが、PRINCEから村松に替わった。

愛着のある時計。
本体の値段は安いが、思い出はプライスレス。

また幸せな時間と歴史を一緒に刻もうな。
相棒、おかえり。

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