2015年12月22日火曜日

44羽:そこで友達になった「こいずみ」くん

序章

昨晩、ムスメが湯船で遊んでいた鍵盤ハーモニカのホース。
脱衣所で床に転げ落ち、一瞬ヘビかと思った。

その隣でうねる様、伸び縮みを繰り返す物体。

「んあぁぁぁぁぁぁぁ!」
またの存在に絶叫してしまった。

昨日、「殺さず」を貫いたダンナ。
しかし、今朝も青虫の脅威に脅かされる。

黒っぽく幾何学斑点模様、体長は約5cm。
対象は昨日と同じだろう。
台所のゴミ袋から這い上がり、脱衣所までに進入をしていた。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」
続けてムスメも絶叫を繰り返す。

俺も「殺さず」を尊重し、ティッシュで優しく掴みに掛かる。
なんとも言えない感触。
ぷにぷに。
ぶよぶよ。
軽く力を込めるだけで押し潰れる。
潰す事は許されない。
グチャグチャになったアレを見たくはないから。
しかし、アイツもしつこく抵抗し、床上で蹲(うずくま)る。
うまく掴めない。
しどろもどろしながらようやく捕捉。
再度ゴミ袋へ。

更に第二要塞なる根城を発見する。
腐りかけた、いや半分以上は腐り茶色の毒々しい汁を垂れ流すレタス群。
ヤツらの糞らしい後もある。
そう、レタス群も母が持ってきたものだ。
異常気象のせいなのか、足早に劣化が進んでいる。

「駆逐。廃棄。駆逐。廃棄・・・」
呪詛を唱えながら、そそくさゴミ袋へ回収する。

そうして、「燃えるゴミの日」の今日。
火葬しにゴミステーションへ持っていった。

騒々しい毎朝が続くと疲れるんだよ。
青虫よ、永遠にさらば。


本編

見てはいけない場面に遭遇すると、どうしても「市原悦子」さん化してしまう。

「まぁ。」
『家政婦は見た』の「まぁ。」だ。

俺の場合は、隠れて「まぁ。」とはしない。
正々堂々、正面切って、頭の中で「まぁ。」が連呼する。


とある店に食事に行ったときの事。

集合時刻より早めに着き、場所を確かめる。
行った事のない店に入ることは躊躇するから、看板を数回確認する。

「ここかぁ。やたら賑やかそうだな。」
外見から店内の状況を想像しつつ、店内に入ろうとした。

すれ違う女性の姿。

一瞬だが、顔を見た。
「見覚えがあるような・・・」
名前を思い出そうとしても、出てこない。
でも、見たことがるような。
もどかしくも、頭の中に収めながら店内へ入る。


店内は思った通り、白色光の電球で明るく、相応の居酒屋の雰囲気を醸し出している。
店を予約したのは俺だ。
店員に名前を告げ、案内される。
案内されたテーブルには、堂々と予約者の名前が記載されたカードが置かれていた。
「辱められてないよな。」
訝しげにカードを見ながら席を見るも、まだ誰もいない。
一番乗りし過ぎた。

開始10分前。
当たり前行動をし過ぎた。
友達ぐらい遅刻しとけばよかったかな。

ふーん。
小物や店の作りを観察するように辺りを見回し、俺の「?」に直面した。
考えながら、友達にLINEをする。
「先、飲んどくから。」
返信はない。

気にしない。
非常識にも注文する。
「生ひとつ。」
「お一人様ですか?」
だろうね。一人で注文しちゃうんだから。
「いや、後4人来ますから。暇なんで飲んどきます。」
「はい。生1丁!」
元気なおばさん店員の声が響く。

飲まないと落ち着かない。
斜め前の席、スーツを着た男性。
見たことのある、いやよく知っている人物を発見してしまった。
チラッと目が合ったような気がした。
だから、飲みながら心を落ち着かせようと考えた結果だ。

携帯を見るふりをしながら、飲みながら、周囲を観察。

先ほどすれ違った女性の服が男性の対面に席する。

????
暫し、沈黙する脳内。
静寂の中、雷鳴が一撃だけ轟く。
「あー!」
女性の名前が頭を直撃した。

確か二人は同じ職場の、同じ部署の・・・
男性は既婚者で、女性はフリーで・・・

「まぁ。」
見てはならない物を見てしまった、気づいてしまった瞬間、出てくる言葉。


後5分で開始。
しかし、まだ誰も来ない。
俺の生ビールは半分を過ぎている。
変に興奮し、ペースが乱れる。
「このまま知られずに、観察するか。」

とは思わない。
意地悪だから。

「○○さん、先日までありがとうございました。」
突拍子を突かれ、目を丸くする男性。
「おー、元気になったんだね。」
男性の目は・・・泳いでいる。
目は一生懸命クロールしている。
「まぁ、ちょっとですけどね。こんな所で仕事飲みですか?あまり無理をなさらないで下さいね。俺みたいになりますよー。」
冗談じみたチャライ感じで話を進めてみる。
『こんな所で仕事飲みですか?』の言葉に応答は無い。
返事が返ってこなさそうなので、俺から切りに掛かる。
「じゃ、またどこかでお会いできましたら。」
「あぁ。」
軽く会釈をして後を去る。
女性は、一度もこちらを見なかった。

「まぁ。」

席に着いて確信した。
不倫現場。
「分かりやすっ。遊びすぎだよ。」

まぁ、他人の不倫とかスキャンダルとか興味は無い。
あるのは、そういう現場を辱めたい願望。


「火の立たぬ所に煙は立たぬ。」
前々から二人の噂は知っている。
そこからの、
「壁に耳あり障子に目あり。」
誰に見られているかは分からない。
誰と誰が繋がっていようかは分からない。

金髪にして気づいた事。
悪いことは出来ない。
そうそう金髪は存在しない。
だから注目を浴びる。
誰彼構わず、一度は目が合う。
善としてか悪としてかは、他人の本意は分からない。
しかし、常に見られている意識はある。
そしてこのブログも。

もしかしたら『次回』があるかもしれない。
その為に、尾行スキルでも磨こうかな。

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